DHAやEPAって何?

DHAは「ドコサヘキサエン酸」、EPAは「エイコサペンタエン酸」が正式名称です。
DHAは、「日本人の子供の知能指数が高いのは、魚を食べる食習慣が起因しているのではないか」という1989年の研究発表がきっかけとなり注目され始めました。
EPAは、1960年代後半にイヌイットに心臓病が少ないことをきっかけに注目され始めたと言われており、医療用医薬品として優れた効果を発揮している成分です。
どちらも「n-3系(オメガ3系)不飽和脂肪酸」という栄養素です。

「脂肪酸」とは?

ヒトの体には欠かすことのできない三大営養素の一つである「脂質」。エネルギー源としてだけでなく、ホルモンや細胞膜の構成や、臓器の保護、ビタミンの吸収を促すなど大切な働きを担っている栄養素です。
脂質を構成している重要な要素が「脂肪酸」で、脂肪酸は様々な種類があります。どの脂肪酸が含まれるかによって、脂質の性質も大きく変わってくるのです。
 
脂肪酸は大きく「飽和脂肪酸」「一価不飽和脂肪酸」「多価不飽和脂肪酸」に分かれます。
化学構造の中に、二重結合がないものを飽和脂肪酸といい、乳製品や肉などの動物性脂肪、熱帯植物の油脂に多く含まれます。対して二重結合があるものを飽和脂肪酸といい、二重結合が1つのものを一価不飽和脂肪酸、2つ以上のものを多価不飽和脂肪酸といいます。
多価不飽和脂肪酸は、n-6系(オメガ6)脂肪酸とn-3系(オメガ3)脂肪酸にさらに分かれます。
n-6系脂肪酸はリノール酸やアラキドン酸などが含まれます。リノール酸は血中コレステロールを低下させる効果、アラキドン酸は認知機能改善効果が報告されています。
一方、n-3系脂肪酸に属するのが、DHAやEPAや、α-リノレン酸などです。
α-リノレン酸は血圧低下作用、DHAは認知機能改善効果、EPAは中性脂肪低下作用が報告されています。


昨今の健康ブームの中でも悪者にされがちな「脂質」ですが、身体にはとても重要な役割を担っています。
飽和脂肪酸の一種であり、加工食品に多く含まれる「トランス脂肪酸」は病気のリスクが高くなるとも言われています。一方、n-6系脂肪酸やn-3系脂肪酸は良質な脂質と言われ、適切な量を摂取することを推奨されているのです。脂質の中でも、何から脂質を摂るのかがとても大切なのです。

DHA、EPAの違いと効果

DHAとEPA、セットにされがちな二つの栄養素ですが、どのような違いや効果があるのでしょうか。
それぞれの働きについて詳しく見てみましょう。

DHAの効果

DHAを日常的に摂取することは、脳の老化の抑制に効果的であると言われています。
脳は約140億の神経細胞でできており、この神経細胞の膜の中にDHAは存在しています。
DHAが神経細胞の膜にあることで膜がやわらかくなり、脳内の情報伝達が活性化します。
脳の神経細胞は、35歳を過ぎると1日10万個単位で死滅していくと言われています。神経細胞の膜が柔軟性を失うと情報伝達の機能も衰えていきます。神経細胞の死滅と、情報伝達機能が衰えることで脳の老化は進みますが、情報伝達機能の衰えを食い止めることで脳の老化を抑制することができるのです。
 

EPAの効果

EPAは常温では固まりにくい性質があり血液の粘度を低下させる作用があります。いわゆるこれが「血液がサラサラになる」ということです。血栓ができにくくする効果もあるため、血栓ができることで起こる心筋梗塞や脳梗塞などの心血管病の予防に効果的とされています。また、中性脂肪の濃度を下げることが証明されているため、動脈硬化の進行抑制にもつながります。
このようにEPAは血管を健康に保つためにとても効果的な成分というわけです。
 
DHAやEPAと聞くと、「血液サラサラになる!」と言われるような事も多いですが、実はDHAには血液をさらさらにする働きを完全にカバーするものにはならないと言われています。
研究面でみると、EPAは純度100%の医薬品で研究がおこなわれてきたので、その効果ははっきりわかっていますが、DHAは100%濃度のものを食べた研究はほとんどなく、明確に分かっているのは人の脳組織に豊富に含まれているということです。DHAの研究は日々行われているので、その効果については今後明確になることを期待したいところです。

DHAやEPAが含まれる食材

魚に多く含まれるDHAやEPAですが、魚も多くの種類があります。
どのような魚に多く含まれているのかを紹介します。

食品
DHA(mg/100g)
EPA(mg/100g)
イコサペンタエン酸
イコサペンタエン酸
アジ(まあじ 皮付き 生)
300
570
イカ(やりいか 生)
75
170
サバ(まさば 生)
690
970
カレイ(缶詰 水煮)
930
1300
カレイ(まがれい 生)
100
72
マグロ(くろまぐろ 脂身 生)
1400
3200
マグロ(缶詰 水煮 フレークライト)
20
120
サンマ(さんま 皮なし 刺身)
1500
2800
サンマ(缶詰 味付け)
1000
1700
イワシ(まいわし 生)
780
870
イワシ(缶詰 水煮)
1200
1200
サケ(しろさけ 生)
210
400
カツオ(かつお 秋渡り 生)
400
970
ブリ(ぶり 成魚 生)
940
1700


魚の中でも、やはり青魚にはDHAやEPAは豊富に含まれているのでおすすめです。
缶詰でもDHAやEPAは摂取することができます。魚の調理が苦手、面倒という人は缶詰を活用してみてはいかがでしょうか。
また、DHAやEPAは様々なサプリメントも販売されています。
魚が苦手という人は、サプリメントなどを使って摂取するという方法もあります。

 
ただし、身体に良いからと言って摂れば摂るほど良いというわけではありません。
EPAやDHAは、大量に摂取すると血液が固まりにくくなる可能性があります。
あくまで通常の食品からの摂取量だと足りない場合にサポートする役割として使うようにしましょう。

まとめ

脂質は悪者にされがちですが、身体にはとても重要な栄養素です。脂質を構成する重要な要素の脂肪酸の中にも様々な種類があるため、良質な脂を摂ることを意識することが大切です。
脂肪酸の中でも、DHAやEPAは体内でほとんど作ることができない「必須脂肪酸」です。DHAは脳の老化防止に、EPAは血管を健康に保つために効果的と言われています。ぜひ、青魚やサプリメントなどで積極的に摂るようにしてみてはいかがでしょうか。